がーさーの日記

楽しい楽しいやりくり

電車のなかの乗客、便器のなかのゲロ

 昨日、僕の目の前で男が倒れた。40代から50代と思われるサラリーマンの男だった。だが少しすると、「大丈夫です」とよろけながら立ち上がった。

 夜遅くの先頭車両の出来事だった。僕は本来もっと早く帰る予定でそんな電車にロる予定などなかったが、すずかけ台に忘れ物をしてしまった。忘れ物に気づいた武蔵小山からすずかけ台まで忘れ物を取りに行った。忘れ物を取り、すずかけ台を出て田園都市線に乗り、押上から京成線に乗り換える頃にはえらく遅い時間だった。僕は特急に乗り、某駅で各駅電車に乗り換えた。僕が乗った先頭車両は混雑していた、そして僕の目の前にはフラフラとしながらやっと立っている男がいた。

 男は電車が出発し少しすると倒れ、フラフラと立ち上がった。「大丈夫です、大丈夫です」と言いなやがら。しかし、明らかに誰が見ても大丈夫ではない雰囲気を発していた。酔ってる雰囲気とはまるで違った。右手でつり革にっとつかまり、左手では今にも重そうに軽そうな鞄を握っていた。目は大抵閉じていたが、たまに開けばものすごい目力で上の空を見ていた。

 男は乗り換えの駅の次の駅で降りた。しかし、その駅のホームでもふらつき、異常な雰囲気だった。僕ともう一人の若い大学生か専門学生かの学生とが駅を降りた。その学生はその男を支え、僕は電車の運転手に事情を話した。運転手には「駅員に話してくれ」と言われた。それもそうだ、しかし生憎駅長室は先頭車両と逆側のホーム一番奥にあった。僕は急いでそこへ向かった。向かってる途中で僕が降りた電車は出発してしまった。「なんだよ・・・」と思わず言ってしまった。

 駅員に事情を話したら「あとは私たちがやりますので・・・」と言われた。僕はその言葉通り、「やれやれ」とあの男の元へはもう行かずに帰るための電車を待った。ホームにあった自販機で飲み物を買って飲みながら。しかし、ふとあの男の方を見るとまだあの学生が介抱していた。

 どういう判断を下したのかは知らないが、男をホームの椅子に座らせて休ませると、駅員も駅員室へ戻っていった。しかし、学生は男から離れることは無かった。ようやく離れ、その学生は僕が飲み物を買った自販機で水を買ったかと思えば、すぐ男の方へ向かい、「これ飲んでください」と差し出した。僕はなんとなくさっき自分で買った飲み物を飲むのをやめてリュックにしまった。

 なんだか、自分が嫌になってしまった。